数学コトバ vol.6 『下に凸』

3次関数のグラフ 数学コトバ
下に凸と上に凸

下に凸とは,下にとんがっていることである.

…というのは正しくない

下にとんがっているが下に凸ではない例

例えば,こんな曲線は,下にとんがってはいるが下に凸とはいわない.

下に凸な曲線とは,曲線上のどんな2点を選んでも,その2点を結ぶ線分の真上に曲線が飛び出さない状態を指して使う言葉である.

下に凸ではないことの確認

先ほどの曲線上にこんな2点をとれば,赤い線分の真上に元の黒い曲線は飛び出さないが,

下に凸ではないことの確認2

こんな2点をとると,赤い線分の真上に元の黒い曲線が飛び出してしまっている.

だから,この下とんがり曲線は,下に凸ではない.むしろ上に凸な曲線2つがつながってできているとみるべきである.

下に凸な放物線

この放物線が下に凸であることも,感覚的に確かめられるであろう.

 

さて,なんでこんなにややこしい定義があるのか.下に凸だろうが上に凸だろうが,まとめて「下にとんがり」でいいだろと突っ込みたくなるのだが,そうは問屋が卸さない事情がある.実は,凸の方向を調べるというのは,曲がり方を調べるという点において意義深いのである.

下に凸とは,言いかえれば,x軸の正の向きを進行方向として進むとき,ハンドルを左に切っている状態である(下に凸な放物線上を左から右に車で移動することを想像してみてほしい).反対に,上に凸とは,ハンドルを右に切っている状態である.

左に曲がるか右に曲がるかは,もちろん超重要問題なのだ.

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