数学コトバ vol.5 『自然な』

自然な和の定義 数学コトバ
剰余類に対する自然な和

例えば,ある教室に,学籍番号1番から5番までの5人の学生がいて,1から10までの数字が1つずつ書かれた椅子が10脚あったとしよう。

学生たちの座り方は,10 \times 9 \times 8 \times 7 \times 6 =30240(通り)あるわけだが,この30240通りの中で最も普通の座り方は,「学籍番号n番の学生がnと書かれた椅子に座る」[1]であろう.

こういうのを数学では自然な座り方という.

 

例えば,学籍番号1番から500番までの500人の学生を,1組から7組までのクラスに分けるとしよう.

人数がなるべく均等になるようにクラス分けするとき,最も簡単な分け方は,「学籍番号n番の学生を,n \equiv a \ (\mathrm{mod} \ 7)を満たすa組に割り振る」[2]であろう.

こういうのを数学では自然な分け方という.

 

要するに,ものすごく普通で簡単で妥当と思われるように何かを定めるとき,そのことを数学では「自然に定める」と表現するのである.

ちなみに英語の形容詞では,natural とか,canonical などと表現される.

 

数学コトバの使用例. 分数の掛け算の定義って自然な感じがするけど,足し算って全然自然じゃないよねえ?

 

[1], [2] 大学の講義や教科書では,このように定めた対応関係を自然な写像とよび,特に,[1]の対応を自然な単射とよんだり,[2]の対応を自然な全射とよんだりする.

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