\ 1 \ より大きい自然数のうち,正の約数が\ 1 \ と自分自身のみであるものを素数という.
どんな\ 1 \ より大きい自然数も,積の形で分解していけば必ず素数にいきつく.素数は数の最も基礎的な要素であり,重要な研究対象として紀元前から現在に至るまで数多の数学者を惹きつけてきた。ガウスの言葉を借りれば,まさしく「数学の王女」である。
しかし,数学者たちの熱烈なアプローチにもかかわらず,素数は未だ謎多き存在である.
例えば,素数が無数に存在することは分かっていても,連続した素数のペア(双子素数[1])が無数に存在するかどうかは現代の科学では明らかになっていない.
冒頭の画像はウラムの螺旋[2]と呼ばれる素数の分布を可視化した図だが,なぜある斜め方向に(\ 5,19,41,71,109 \ や\ 7,23,47,79 \ など)素数が多く分布しているのかも明確な説明はついていない.
この二つの未解決例からも分かるように,素数の並びはバラバラで規則性が見当たらない.誰も全容がつかめない,まるで神からの挑戦状のようである.だからこそ,人間は素数にとりつかれているのかもしれない.
[1] \ (3,5) \ や\ (17,19) \ のような差が\ 2 \ である素数の組のこと.
[2] 斜め方向の列を一つとると,この数列の一般項は,
4n^{2}+an+b
と表せる(階差数列をとって予測してみてもよい).ウラムの螺旋が示唆しているのは,素数を多く生成する定数\ a,b \ が存在しているということだ.
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