数学コトバ vol.1 『逆』と『裏』

逆・裏・対偶の関係 数学コトバ
論理における逆・裏・対偶の関係.

weblio類語辞書によると,「逆に言えば」や「裏を返せば」という表現は,「一つの事柄に対して反対の角度から見た時の表現」だそうだ.しかし,数学では,という言葉には明確な違いがある.

 

命題「 \ p \ ならば \ q \ 」に対して,

逆の命題とは「 \ q \ ならば \ p \ 」のことであり,

裏の命題とは「 \ p \ でないならば \ q \ でない」のことである.

 

ところで,ある文章から,逆や裏の文章を導いてはいけないということは常に意識しておきたい.

例えば,数学教師に「テストが50点未満ならば尻叩きだ」と言われたとして,

勝手に裏を考えて,「50点以上ならば尻叩きでない」と解釈してはいけない.

この数学教師は50点以上の場合は何も言及していないので,道義的にはともかく論理的には50点以上の生徒の尻を叩いたって構わない.

だから逆を考えて,「尻叩きされたあいつは50点未満だ」と結論付けることもできない.

そいつは,50点以上なのに尻叩きされた可哀そうな奴かもしれない.

 

人の言葉の逆や裏を無条件に受け入れてはいけないのだ.

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